作家 太田大輔

アメリカンポップと江戸時代

1976年23歳の時、アメリカ独立100周年の夏、車にキャンプ道具を積んでアメリカ大陸を横断しました。
カリフォルニア州ロスアンジェルスからニューヨークへ向け出発、帰りは北周りで、シカゴを経由して、ワシントン州シアトルまでの約8000キロの旅でした。父は長崎がルーツで、祖父の兄はその長崎からアメリカへ渡り、西海岸のシアトルで、当時ホテル王と呼ばれるほどの成功をおさめました。その関係で、アメリカ各地に住んでいた親戚達を頼っての旅でもありました。ぼくと日本人の友人と、日系3世との三人旅でした。当時の僕は写真が大好きで、プロも目指していました。帰国してから、旅で撮った写真で池袋西武デパートで個展を開催しましたが、写真家にはなりませんでした。その後、写真とは表現が全く違う木版画を独学で始めました。題材はアメリカンポップな作品でした。イラストレータとして、企業や新聞社などのPR誌、カレンダーや広告の仕事を30年ほど続けました。その間、オリジナル作品も作り、シアトルや東京で何度か個展を開催しました。そして、2001年9月、木版画によるアメリカンポップ作品を売り込もうと、ニューヨークに行く直前、あの9.11が起きてしまいました。その時、ぼくの中で何かが壊れ、紆余曲折あったものの、ある落語を聞いたのがきっかけで、アメリカンポップとは違った江戸時代をテーマに作品を作るようになりました。 このページにアメリカンポップ作品と江戸時代作品が並んでいるのには、こんな経緯があったからだと思います。
30年振りにデジタルでアメリカンポップ作品を復活させました。